今回は少しアカデミックな話題です。

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青少年ワークサポートセンター広島が耕作している農地は農林水産省のJAS有機認定を受けており、できた野菜はオーガニック野菜として一部店舗で販売をしています。有機認定を受けるには大変厳しい審査があり、使用する肥料、種などもJAS 有機基準に適合しないものは一切使用できません。

さて先日JAS 有機の研修会に出席し勉強してきました。その研修会で驚いたことに「農薬と発達障害」についての議題が出てきたのです。(@_@) 昨今、発達障害の原因として注目されているのが「農薬との関係」があるということらしいんです。食べ物に含まれる化学物質が子供の脳の発達に影響を与える・・・そんな恐ろしい話なのです。

日本の農業は長らく政府、農協、農薬、肥料、資材、種苗メーカーが一体となって農業政策を進めてきました。病気が出たらこの農薬を使いなさい、育ちが悪ければこの化学肥料を使いなさいと。また病気や農薬の耐性に強い種苗も開発されてきました。それにより見栄えの良い美しい野菜が栽培され流通しています。農薬については1990年代それまで主力で使われてきた有機リン系の薬剤からネオニコチノイド系の薬剤が主力となりました。有機リン系の薬剤は雨などで流されてしまいますが、ネオニコチノイド系の薬剤は浸透性があるために野菜の中に浸透して残ってしまいます。それにより効果が長持ちして少量の散布で済むために生産者にとってはとても便利で、急速に普及しました。しかしそれは消費者にとってはとてもリスクがあり、台所で洗い流して落ちていたはずの農薬成分が農産物の中に残っている恐れがあるという事なのです。( ゚Д゚)

ネオニコチノイド系の農薬については「発達期の脳に影響を及ぼす」ということは世界各地での論文で発表され、日本でも国立研究開発法人・国立環境研究所が、「ネオニコチノイド系農薬の発達期曝露が成長後の行動に影響を与える可能性を動物モデルで示唆」との論文を2016年に発表しています。この論文にあるマウスの実験でもわかるように、妊娠中の母親が体内に取り込むことによって、胎児にもその成分が移行する可能性は否定できないということなのです。胎児にとって脳の発達が重要であることは言うまでもありませんね。

週間朝日2019年3月15日号の記事によれば、子どもへの悪影響をはじめ、様々な環境問題につながるとして、EUはネオニコチノイド系の3種類の農薬の屋外使用を2018年に禁止しました。もともとはオランダが14年に、フランスが16年に禁止を決めています。その他、韓国も14年に、ブラジルは15年、台湾は16年に、それぞれ使用を禁止しています。ところが、日本は禁止どころか、ここ数年はネオニコチノイド系農薬の食品の残留基準をむしろ緩和しているのです。ただ子どもの発達障害には様々な要因が考えられます。虐待といった異常な生育環境も、脳の発達に影響を与えるますので農薬だけが原因だとは断定はできません。

農薬メーカー側は、「定められた用法用量で使用すれば毒性や環境への負荷は低い」などとして、使用禁止には否定的ですし、行政側も「安全性は担保されている」との立場で、規制を強化しようとはしていません。
それでも、ネオニコチノイド系農薬と子どもの脳の関係を指摘する研究があることは確かで、その数は増えています。使用禁止が世界的な潮流になるなか、それに逆行するような日本の姿は見直すべき時だと思います。

皆さんはどう考えますか?

下記サイトも一度参照してください。

https://dot.asahi.com/wa/2019030500048.html?page=1

青少年ワークサポートセンター広島では調理プログラムとして日々お昼ご飯を作って食べています。使用する野菜は全て我が農場で栽培された安心安全なオーガニック野菜です。もちろん農薬は一切使用していません。灰汁がなくとてもとても美味しい野菜は皆さんに大変好評です。オーガニック野菜を食べて健康な体を作りましょう !(^^)!IMG_2621 (2)